『オセロー』2018/9/20 新橋演舞場

行ってきました。

『オセロー』9/20 13時の部。

席は1階6列センター。

 

白水ブックスの『オセロー』買ってたけど、読む暇なくて最初の20ページぐらい読んで放置。学生時代に十二夜とかリチャードⅢ世、空騒ぎ、真夏の夜の夢とか読んでた筈だがオセローは読んだっけ?

オセローといえば尾上松緑、イアーゴーが辰之助、デスデモーナが玉三郎をおぼろげに覚えてるくらい。シェイクスピアは好きで蜷川版のDVDは買ったことある。でもそれぐらい。

だから『オセロー』よく知らない。

 

今回神ちゃんがイアーゴー代役と知り…すげぇ。辰之助なんかめっちゃ凄かったぞ。大丈夫か?神ちゃん(笑)。

新橋演舞場しかないから、東京まで行くのがハードル高くて最初は見るの諦めてたんだが…。あれ?そういや光一氏もシェイクスピアだっけ。10/4の『ナイツ・テイル』梅芸に行く。

シェイクスピアって台詞回しどんなだろ?と興味が湧いて、結局一般でチケット取った。たまたま行ける公演の6列目が1席だけ空いてて…よし!行こう!

 

新幹線の中で原作読むつもりが30ページぐらいで寝たw 早く着いたので、お昼食べながら読む。半分ぐらいまでは斜め読みした。

 

さて、1幕。

パンフ読んで、

「ゴンドラ5叟?なんじゃそりゃ?」

とは思いつつ。

これか!(笑)

あれ?でもこんなシーンあったっけか?原作読んで普通に街なかのシーンかと。

なるほど確かに5叟だ。場面転換上手いな〜。あの泣いてる寡婦のゴンドラ演出。これなんかこの舞台で足した演出だろう。

 

でもって初っ端が神ちゃんイアーゴーとその友人登場。

う〜ん。ちょい台詞が聞き取りづらい。

でもってその後芝翫さんのオセロー出てきて、台詞の圧倒的な差にw

まぁそりゃ仕方ないよな。子供の頃から歌舞伎の舞台立ってて30才も年上の人と、同レベルを期待するのは無理。

光一氏の出てた『陰陽師』のドラマでも思ったけど、歌舞伎役者さんて声張ってる訳でもないのに、現代語や現代劇の台詞めっちゃ聞きやすい。

神ちゃんもWESTのメンバーの中じゃ台詞随分聞き取り易い方だから、シェイクスピアの台詞はどうかな?と興味津々だった。 で、今回ちょっと聞き取り難い理由を考えた時、随分低音で喋ってるから、それかなと。

普段は聞き取り易い声だし綺麗な歌声だけど、流石にあの綺麗な声でイアーゴーはな(笑) 相当低めで喋ってる。特に悪巧み的なとこ。

 

友人役の人も綺麗な顔だなと思ったら、元ジュノンボーイだったwそして神ちゃんが陥れる副官もイケメンだと思ったら元ごくせん(笑)照史の知り合いって彼かな?

神ちゃんの長めでちょっとウエーブ入った金髪の髪型も相まって、イアーゴーめっちゃイケメン。綺麗だ。

しっかし総じて若いな。どうやらイアーゴー若いし、全体的に配役若めらしい。

でもって対照的に脇の役者さん台詞回し綺麗だな〜と思ったらwがっつり舞台の役者さんだった。蜷川さんの舞台ずっと出てた人もいる。

若手のメンツはあっちゃこっちゃから引っ張ってきてて、脇はベテランさんや芝翫さんの門下だったり。

それでも芝翫さんがオセローだからこそなんだろうな。あの重厚感で舞台を引っ張ってる。

 

デスデモーナは只管綺麗。

前列のお婆ちゃんの御一行様デスデモーナ登場でいきなり拍手してた。なんかそれヅカっぽいな〜(笑)今回団体客入ってたから観客の年齢層結構高かった。おじいちゃんなんかもいたし。

左隣のお一人様は20代っぽい方。多分神ちゃん観に来たんだろうな。右隣の2人組は50代。チケ流の話やヅカの話してたけどどうやら双眼鏡で見てるのが副官さんっぽかったw

 

背景やセットが結構面白かった。

アマデウス』みたいにがっつり写実的セットじゃなく階段をいくつか組み合わせて砦の中だったり。

1幕冒頭はゴンドラは出てくるし、貴族の屋敷も出てくるし、面白いな〜と見てた。

あと音楽がユーミンの旦那さんだったから、最初どうよ?だったが普通に楽曲良かった。元々クラシックから入った人だったんだね。音楽重厚でした。

 

1幕終わりが神ちゃんのシーン。

舞台雑誌で稽古場に潜入レポ的なのを読んだ時に、”神山が巨大なボールを浮かせて踊っていた。あれはどういうシーンになるのだろう”という記事があって。

神ちゃんが、

「あれは本当は地球儀なんです」

と。

地球儀出てきて、”あれか〜!”と思ったが、予想外の軽さというか浮遊感にびっくりした。 軽〜くぽーんぽーんと突き上げたり、手の先に持ったり、くるりと舞ったり。最後は大きな会議机に仰向けに寝て地球儀を操っていた。

めっちゃ幻想的。

しかしこのシーンの意図は何だw

これからのイアーゴーの人々を操る様を、地球儀を操ることによって象徴的に暗示か?

ここ神ちゃんオイシイな〜。

 

シェイクスピアって中世英国の戯曲だからお硬い舞台かと思っていたが、どうやら結構アレンジ効かせてる。台詞は勿論まんまなので、台詞以外の部分で。場面転換やセットやなんやかんやが面白い。

あと友人役が可愛い。イアーゴーにめっちゃ騙されてるんだけど、そこが可愛いというか(笑)

それから斜め読みした原作本の台詞が、舞台見てて意外と頭に残ってた。

 

 

2幕。

変装した髭面の友人w酔っ払う副官wモブの兵士役が予想外に人数多い。

 

思ったのが、副官やオセローに対するイアーゴーの謀略の動機が弱くね?

家柄が良い人間が自分飛び越えて副官になったからといって、そこまで恨むかな?あとオセローは自分の妻を寝取った的噂があったとか?

でもイアーゴー自身がオセローは高潔と言っている。多分寝盗られたとか信じちゃいまい。

結構表情とかは悪そうな感じ出してるけど、オセローに対してはあくまでも忠実な部下なんだよな〜。

なんでそこまで?てのがイマイチ実感できない。

嫌いだったのかな?副官とオセローが。ちょっとした意趣返しだったのかもな。

にしては奥さんにハンカチ盗んでくるようにしつこく迫ってたけど。意趣返しにしてはオセローへの計画が緻密だよな〜。

友人とのやり取りはイアーゴー若いwこっちはうかうかとイアーゴーに騙されている友人を笑って見ていられる。ちょっとコミカル。

 

階段を組み合わせた多分砦内っぽい感じのセット。

階段等諸々が動きながら兵士達のモブシーン。 真正面の砦の切れ目、階段上がり切った所に大きい満月が浮かんでいる。

2幕終わりは、デスデモーナの事で毒を吹き込んだイアーゴーと猜疑心に負けたオセローが、赤く染まった月の前で背中を客席に向けて二人立っている。

その背中が逆光のように浮かび上がっている。

 

神ちゃんかっけー!

これは原作読まねば!

次の幕間は30分。よし!読むぞ!

で、なんとか読破しましたw

 

 

原作と場面の切り方が違う。

3幕は2幕終わりの直前、階段下から始まる。

2幕ラストとほぼ一緒のやり取りなんだけど、オセローを丸め込んで悪そうな顔でニヤリと笑って、さも誠実そうな部下面して階段を共に上っていくイアーゴー。

同じ場面を2回演じているがテイスト変えて。

 

あ、前後しますが、花道を神ちゃん1幕で3回、3幕で1回通ったらしいw

あと1階24.25番目の間の通路を一回走って出てきた。

花道あんま覚えてない。出る前にシャー!って花道のカーテンか何かが開く音がする。いかんせん6列目だから後ろはよく見えない。

 

と、3幕途中で睡魔が襲うwやばい(笑)朝5時起きだったからな〜。

そういや初めて帝劇でEndless SHOCK見た時も、朝乗った新幹線更に早くて途中で寝てたw

デスデモーナとオセローのシーンで耐え切れず寝た気がするw

芝翫さんシェイクスピアにもかかわらず所作が時々歌舞伎っぽい。ここのオセローの慟哭するシーンとかめっちゃ歌舞伎やん。

オセローはムーア人だから、肌が黒い。若しくは褐色。ここに人種差別的なテーマもあるらしいが、肌が黒いと目が白く見える。正確に言えば白眼が浮いて見える。なんだか見得でも切ってるのかと黒目の位置を双眼鏡で確認した。

見得切ってませんでした(笑)

 

さていよいよ私的クライマックス。

友人を嵌めるイアーゴーの表情好きですわ。

妻を刺して逃げた後、捕らえられオセローの寝室に引き立てられる。 ここは縄手で台詞もなく顔も表情なくうつむき加減。

あ、途中で客席に顔を背けていたイアーゴーの場面があったが、寝室のバックが鏡張りだったので、鏡で表情確認できた。客席に背を向けていてもちゃんと演技してた。

虚ろなのかどうなのか。

オセローの方を上目遣いの三白眼で見てる時もあれば、目を伏せている時もある。

表情見たくて双眼鏡覗いたら、キラキラした乱れた前髪の下に、めっちゃ生え揃った長いまつ毛があってびっくりした。

最期の長台詞の後、ベッドの上の自分が縊り殺したデスデモーナの隣で、自分の首を掻き切ったオセロー。

明かりが落とされ、その中をイアーゴーが縄手のまま、のろのろと正面のベッドの前まで移動する。

ベッドの上にはこと切れたデスデモーナとイアーゴー。

その前で客席の方を向き、膝を突いたイアーゴーにピンスポ。

声は…無かったか?

台詞は原作読んで無いのは判っていたのに、つい何かを期待して、そのまま固唾を呑んで注視してしまっていた。

 

上を仰ぎ見ているイアーゴーに幕が下りる。

 

1.2.3幕いずれも幕が下りるその下にはイアーゴーがいた。

そう言えばパンフは芝翫さんのすぐ下に名前が。 勿論デスデモーナがいるけど、2番手だよね。

…すげぇ。こんなところにイアーゴーとしてジャニーズWEST神山智洋が立っているのが、凄い。

なんか本当に凄いな…。

この若さでイアーゴーとして芝翫さんと共演なんて、もうまず無いだろうと、その神山智洋が見たかったというのもある。

 

で、その神ちゃん。 WESTファン目線で言うと、

・姿が綺麗。あの髪型めっちゃイケメンなんですけどw

・そして。共演者と並ぶと意外と小さくない(笑)WEST内ではちっちゃくて可愛い扱いなのにw

ダッシュで退場とか結構あるが、重心落として駆ける姿がめっちゃ素早い。 

・腹黒い神ちゃんカッコいい。

・最後のシーンもめっちゃ印象的。ラストが神ちゃんて…。もう主役ですかっていう存在感。

 

 

さて。 シェイクスピアって名作だからいろいろと研究されている。そういうのは一切知らん(笑)だからあくまでこの舞台を見た感想。

オセローは、愛する妻に嫉妬の余り部下に騙された滑稽な男なのか?そしてその疑念から妄想が広がり妻を殺し自らも自刃するのが、悲劇的なのか?

う〜ん。

芝翫さんのオセローは立派で、ちゃんとイアーゴーの唆し方も上手かったから、妄想に捕われた哀れなオッサン的な感じは無かった。

原作通りなんだがイアーゴーの誘導の仕方が上手い。わざとオセローが問い掛けたがるように誘導してゆく。

 

どっかで文化の違い的な話を読んだがパンフだっけ? ムーア人が何者か寡聞にしてよく知らないが、舞台はヨーロッパのギリシャだっけか?ここじゃそりゃ異端児だろう。なのに議員や貴族達からの信頼も厚い。

ムーア人という言葉で表現される度に、それ差別ちゃうんかい?と思ったが。

この頃はそれが至極普通だったんだろう。 肌が黒いにもかかわらず当時のヨーロッパ社会で信頼されて階層の中を駆け上がり白人女性を妻としたオセロー。

その誠実な人柄故に尊重されている。 でもその夫婦の間には違う世界、文化があるから、

「父親を平気な顔で裏切っていたのだから、夫にも(以下同文)。そういう文化の場所で育っているんだから、”裏切らない”ではなく”裏切ってもばれないように女は裏切る”」

なんてイアーゴーに言われりゃ、そりゃここでの文化的にはそんなものかと思う。何故ならオセローは知らないことだから。

それもそうかと思えば嫉妬も芽生える。

オセローはふっつーにいい人で、デスデモーナも普通に綺麗なお嬢さんだ。最初のラブラブ加減も、後半のオセローに信じて貰えない場面との対比だろうし。

 

イアーゴーは…見る前はもっと図太くてあくどい根っからの悪い男かと思ってた。悪巧みを企んで楽しんでいるような。多分それ辰之助のイメージ(笑)トリックスター的というか。

一方、神山イアーゴーは…。

結構繊細。それはきっと神ちゃんが演じているから。割と生真面目だったり繊細だったり、若さ故の線の細さや綺麗な容姿から、見る者に伝わるイメージってあると思う。めっちゃ声低くして演じてたんだけどな〜(笑)

ラストシーンでもイアーゴーの哀れさが迫ったというか…。

こんな結末全部あんたのせいだよ?って言っても、もう何も聞こえてないんだろうなと感じさせる幕切れ。

はっきり言って神山イアーゴーの手に余る結末なんだけど、もうそれさえも知ったこっちゃない的な壊れたイアーゴー。

その叫び声が聞こえた。  

哀れさが胸に迫る。 なんでこんな事したの?誠実な部下の顔で信頼を得ているからこそ、オセローもその問を誘導されたとも思わず、まんまと誠実な部下イアーゴーの言葉を受け入れる。

そんなイアーゴー。

きっと後悔はしてないだろう。そんなところまで思い至ってない気がする。

根っからの悪人ではないんだろうが。

或いはムーア人としてのオセローのメンタリティーをそこまでは理解してはいなかったのかもしれない。 高潔で愛する女を愛しさ故に疑い、我を失くした自分に絶望して自刃したのか。その自分の愚かしさを目の当たりにして。

イアーゴーは何を思うのか。

友人も妻も殺し、果てはオセローとデスデモーナの遺体を目前にして。全てが自分の思いや行動からだが。

若さ故の暴走?

破綻した世界に唖然として自分の閉じた世界に居る人…のように感じた。ふてぶてしさよりは破綻した現実に唖然としている若い男に見えた。

 

そういやほんまラストに男達が押し入って寝所に残って

たメンツを斬り殺して去ったが、ありゃ何だったんだw

 

 

幕が下りる。 兵士、議員達と下から順にカーテンコール。

神ちゃんはデスデモーナの前。一際大きい拍手が響く。最後にオセロー。

友人役、副官さんは片マントで優雅に礼をしていたが、神ちゃんはマント無しで、両手を太ももに当て深々と礼をしていた。

最初の方で、イアーゴー、友人、副官の3人が並んで立ってたシーンがあった。神ちゃん身長は真ん中。後の2人が優雅な膨らんだ肩にズボンも乗馬服風の膨らみに長靴だったが、イアーゴーは結構無骨なストレートなラインの色味も地味な服装で唯一片マントを2人同様羽織っていた。

3人の衣装の対比でイアーゴーのポジションを表わしているのかなと。多分裕福な友人に家柄の良い副官。頭の良さと仕事への真面目さしか無かったのではないかと思われるイアーゴー。

でもってカーテンコールの礼もそんな感じなのかなと。

或いは単に神ちゃんなのかな?とも思ったが(笑)

幕が下り、帰る人もいたが、すぐ幕が上がる。 確か合計3回幕が上がった。

え?そんなに?嬉しかったけど(笑)普通何回あったんだろう?

 

最後は芝翫さんと笑顔で談笑していた。

促され、笑顔で客席に手を振る神ちゃん。

わぁいー!神ちゃんだー!

やっと手が振れる!カーテンコールの間、コンサートじゃないんだからここで手を振っちゃ駄目だろwと、我慢してた。

幕が下りるまで必死で手を振ったぞw

 

はぁ。楽しかったー!

神ちゃん!凄い! 

そこまでして頂いていいんですか?!ってぐらいの厚遇。

稽古しながら作っていったって感じらしいから、神山イアーゴーだからこその演出もあったんだろう。

シェイクスピアって重厚感のあるイメージだったから、今回良い意味で裏切られた。勿論芝翫さんは流石だったけど。

 

楽しかったです。

日帰りで観劇の為だけの東京行だったが、楽しかったー!

 

休演日無しのまるで歌舞伎のような公演。

もう少しで千穐楽。無事千穐楽を迎えますように。

お疲れ様です。  

 

 

 

 

さて。
蛇足。

ずっと光一氏のシェイクスピア見たかった。特に『リチャードⅢ世』とか。
『ナイツテイル』楽しみだが、ミュージカルだし、テイストは随分違うんだろうな。
事務所からSHOCKを大事にされてるからこそ、なかなかそれ以外の舞台出演を許されなかった光一氏。

一方。
後輩は結構さっくりと外部舞台に出ていた。例えば今回の神ちゃんとか。まぁ代役ではあるが。
そういうの見ると結構悔しかったが…。

今はもういいかなと。
ポジションが違う。持てる者と持たざる者か?
それそれ違うんだからファンが羨んでも仕方ない。
やっとそう思え出した。

あと。
翼の退所は複雑だった。
代役がそれそれジャニーズWESTに回ってきてたから。
『マリウス』は桐山照史に。
『オセロー』のイアーゴーは神山智洋に。
単に翼より下の人間である程度演技ができてスケジュールが空いてたのが、余り売れてないWESTだったのかもしれないがw
2人共代役ということで翼とも連絡取ってたし…。
翼どうなるんだろう。また『マリウス』でフラメンコを披露する時は来るのか。山田洋次監督が照史のフラメンコ見て、
「頭が動くんだよね」
とさっくり指摘したのを思い出した。
翼のフラメンコって腰位置がめっちゃ決ってるんだよな。洋次監督の発言に思わず頷いた。

どうか…戻って来れる日が訪れますように。