『マリウス』2018/06/24夜の部

後にも先にも1回だけの『マリウス』観劇。
本当は6月18日月曜の昼公演だった。
地震で有馬から地元の県にUターンした。
もう見られないだろうと諦めていたが、24日夜公演に振替が決まり、web松竹から電話連絡が。やったー!

で、行ってきました。松竹座。
席は1階左列。へ〜こんな席あるんだ。
2、3階は見えないが、1階は9割方埋まってる。振替で埋まらなった分は販売してたんだね。
『マリウス』平日はともかく土日はほぼ埋まってたらしい。どうやら去年の公演よりは埋まってたとのこと。桐山照史、無事代役の責を果たすことができたようで、何よりです。
下手の左側壁際の席なので、下手は見切れてる。港側の風景は不明(笑)
あ、26日は千穐楽だからもうネタバレ気にせず書きます。
既に見てる方から、1幕は長いし眠くなるかもと聞く。うわwマジか。『Endless SHOCK』でさえ寝落ちしたことあるんだがwww

あ、『マリウス』代役決まった時になんとなくざっくりと検索かけて概要は把握してた。元は3部作。そこから今回の作品。山田洋次監督が若い頃に読んで感銘を受け『男はつらいよ』を撮ったとか。
だから寅さんの原型はここ。
ーーーぐらいの予備知識。
山田洋次監督って多分偉い人なんだろうな。自分が寅さん余り好きじゃないから、”どうなん?”て感じ。
でも『アマデウス』のモーツァルトを演じた照史は絶品だったから、今回の『マリウス』も結構期待。
見終わって今日なんとはなしに流れてきたレポを見てて、どうやらアドリブ多かったらしいと知る。SHOCKでもそうだが、ネタバレ回避しようして尚かつレポ書こうとしたら、どうしてもアドリブのレポぐらいしか書けない。
私は初見だったからどれがアドリブでどれがそうじゃないかは不明。ま、いっか。

舞台観る前にパンフ購入。あれ?出演者多いぞ。こんなに出演者多いの?
で幕が上がり、謎が解けた。そうか港や街頭を行き交う人がめっちゃ多いんだ。他の舞台でよくモブシーンは1人何役も演じてたりするけど、モブも結構役柄固定してる人多いような。

柄本パパがお父さん役。やっぱりいいな〜。息子達も好きだけど、さすがパパっす。味があるよな〜。
そして照史。
うぇ。なんか…めっちゃ体が大きく見える。ガタイいいなぁ(笑)眼鏡掛けてるけど表情見えないので、双眼鏡デフォルト。双眼鏡で見ると視界狭いからやたらと体のガッツリ感が迫ってくる。背中とか二の腕とか太ももとか。
あんま好きじゃないんだよな〜。ヒゲ生やした照史w
瀧本美織は『美男ですね』で知った。今年のSHOCKのリカも彼女。あとヅカのドラマもやってたな。
歌やダンスはそこそこ出来そうなイメージだった。フラメンコ踊る彼女。へ〜。つうか照史は?フラメンコの練習は結構頑張ってたらしいが、どうだろう。
元々ジャニーズ入る前からダンスやってたし、バク宙の位置は一番高いと、関ジュの後輩達に実は照史アクロバットも出来ると言われていた。だから結構期待してたんだが…(笑)
うーん。難しいんだろうな。翼のフラメンコは以前テレビのドキュメントかなんかで踊ってるの見たことある。で、フラメンコ以外のダンスする翼を見て、腰の位置がめっちゃ決まっていたのを思い出した。体幹が全くブレない彼のダンスを見て、これはきっとフラメンコから来てるんだろうなと思った。
それと比べると…照史のフラメンコは弱い。そこまでは全くいってない。
後で知ったんだが、出演者さんの中にフラメンコ専門のダンサーさんがお二人居た。女性の方結構派手なパフォーマンス。ちょいイメージ違う。抑えた感じがない。あと一人は物乞いっぽい役をしていた男性。この方スラリとしていて踊ると綺麗。
やっぱ…手足短いと見栄えが…照史w
いやいやそこは仕方ないかもだが、やっぱりな〜。翼もそんなに体格は大差ないのかもだが、そこはスキルで魅せてるんだろうな。いや、頑張ったんだろうが。だって何年もフラメンコやってる翼とほんの1、2ヶ月やった照史が同等に出来ちゃったら、それこそおかしい。フラメンコ舐めんなよwだ。

舞台上ではセザールパパやその他大勢いろんな登場人物が会話を繰り広げる。
それを、酒や水を注いだりグラスを磨いたり、いろんな仕事をしながらマリウスは会話を聞いている。ちょっとした表情でリアクションをしつつ。
そこまで能動的には動いてなくてもちゃんと受けの芝居をしている。

そしてびっくりしたのがキスシーン。
余りそういう舞台見た事無かったので、舞台でのキスシーンて体の重なりとかでキスしてる風に演じてるのかと思ってた。
”あ、キスシーンだ”と思ってたら…双眼鏡で見てたから、がっつりアップで見てしまいびっくりした(笑)マジちゃんと唇絡めてるし。
照史のキスシーンだ〜。
シゲの『溺れるナイフ』でもキスシーンあったが、あれは高校生の可愛いシーンだった。シゲは、
「何回もそのシーンを演じたが、現実世界で実際にはずっとそんな感情が続くことはあり得ない。でもその時はそれをずっと演じることが出来たんだから、その気持ちはずっと続いている。幸せだったのかも」
と言っていた。
とすれば照史は毎日毎日キスシーンも含めてずっとマリウスとして生きているんだろうな。こんなキスシーンずっと瀧本美織としてるんだ〜とちょっとびっくりしたわw

双眼鏡に照史の顎髭がアップで入る。うわーんwやっぱイマイチ(笑)
あくまでも好みの問題です。すみません。

そして、そして。
プティの西畑大吾がめっちゃ可愛い!もー本当に!なんでこんなに可愛いのか。花売りの少女と可愛いサイドストーリーを繰り広げている。
歌もある。伸びやかな歌声。
いいな〜。大吾舞台映えする。

すみません。一晩寝ちゃったらあんま覚えてないw
そういや…隣の席の人がずっと暗がりの中でメモ書きしててびっくりした。へ〜そういうことする人リアルで居るんだ。

幼馴染のファニーが昔12才位の頃、16のマリウスの頬にキスしたんだっけ?それとも反対だっけ?台詞から幼い頃の彼等の姿が目に浮かぶ。可愛いな〜。
でもそれでも恋人にはならないというマリウス。

これって、元々1929年にパリにて初上演された作品だ。戦前のパリ。そして舞台はマルセーユ。て、どこやねんwフランスか〜。スペインかどっかかと思ってた。
ディーゼルの駆動も付いている帆船が停泊している。研究の為の航海を待っている。狭い日常生活から飛び出し、帆船での航海と憧れるマリウス。幼馴染の彼女と今日の続きの明日を生きる日々と、未知の世界へと誘われる帆船に乗っての見果てぬ夢のような日々。
時代が違うのかもしれない。そこは勿論考慮に入れるべきだ。今とは違う。戦前の、フランスの、港町。道徳観念も社会規範も違う。
そんなことを考えるのは、この舞台を見たからこそなんだから、それはそれで確かに私は何かをこの舞台から受け取っている。だから、それはきっと、それでいいんだろう。
ただね。
なんかね。
見ながら、なんかずりぃよと思ってた。
マリウスの恋人ファニーが。

舞台を観る前に雑誌なんかのインタビューは読んでた。照史が、
「それぞれの立場や視点から観ることによって、いろいろな見方のできる舞台」
と言っていた。
「マリウスを情けない男だと見る人もいるだろう。惹かれるものが幾つかあってそれぞれに惹かれつつ迷うその姿には、現実の自分を重ねて共感できる部分もある。いろんなことをしたいと思ってしまう自分がいるから」
と。
だから、優柔不断だったり迷ってしまう人なのかなと予測はついた。情けなかったり共感できない部分もあるのかな?と。 

一幕。
お父さんとマリウスの掛け合いも楽しいし、ファニーとの恋仲もキュンとなるし、長年連れ添った奥さんと死別して19のファニーを後添えにと願う55歳の町の名士のオッサンも結構楽しい。
孤児で渡し船の船長に育てられ、機関の整備をしている少年だったり、祖国を遠く離れ、民族衣装で花売りをしている少女だったり、税関の役人だったり、郵便配達員だったり…そういう人々を丁寧に描いていく。それはきっと山田洋次監督の想いなんだろう。
恋人の所から朝帰りをしてベルトを忘れてくるマリウスとか、セザールパパが散歩と言いつつ女性の所におめかしして出かけてたりとか、コミカルなシーンも結構あって楽しい。
照史って元々コミカルな芝居の間も上手いし、そういうのは達者。
そういう笑いのテイストも交えつつほっこりした群衆劇も加えつつ話は進む。原作のテイストもそうなんだろうし、監督の色もそうなんだろう。ちょっと大阪の新喜劇や世話物のような色も感じつつ。

そして所々に流れる歌。瀧本美織上手。そして勿論照史も。
うちの姉が照史について、
「私はあんま照史の歌は好きじゃない。上手いかもだけど響かない。なんか『俺って歌上手いだろ』って声が聞こえてきそうな歌だから、そっちが気になって歌が気持ちに響かない。自己陶酔的というか。そして歌声が前に出過ぎる」
と。
う…ん。言いたいことは分からんでもない。クセあるしな。
でも今回の『マリウス』は結構丁寧にちゃんと歌詞伝えようと歌ってたような。歌ってるというより台詞を届けようとしている感じ。   

恋人を置いて船に乗るマリウス。
でも、それってマリウスの気持ちを忖度したファニーが敢えてマリウスを船に乗るように仕向けたって感じ。

二幕。
冒頭。キャップを目深に被っていたマリウスが寂寥感をたたえて歌っている。
あれ?
なんか…えらい頬がこけてる。
さっきから30分しか経ってない。どした照史w
アマデウス』の二幕のめっちゃやつれて男前だったモーツァルト思い出した。あ…そうか、シェーディングか(笑)
ファニーの、
「すっかり日焼けして海の男になって」
という台詞で、だからそういう雰囲気醸し出してるのねと納得。
随分と精悍な感じです。めっちゃ双眼鏡で見たぞw

元々の話を検索して、マリウスが故郷に帰って来たのって子供が6,7才の幼児程度になった頃かと思ってたら、まだ旅立ってから1年半しか経っなかったんだね。
子供の権利が自分にあると主張するマリウスを叱るセザールパパのシーンは、パパ言ってることがご尤もだ。
そりゃ何も知らなかった実の父親に権利はなく、実際に愛情を持って育てている義理の父親の情に考えが及ばず権利の主張ばかりするのは、余りにも愚かしく見えるんだろう。
セザールの言葉に、客席からすすり泣きが聞こえる。
照史も瀧本も涙を流しながら演じていた。

マリウスが好きだけど、そのマリウスが街を出た後に妊娠に気付き、ヤモメの街の名士で金持ちで優しいオッサンと結婚して、子供を産んだファニー。
母と伯母の助言を受け入れて。
う〜ん。19才で、まだ子供っちゃ子供だしな。

航海に出たものの、ファニーを忘れられなかったマリウス。
そして子供の事を知って一緒に3人で新しい生活を始めようと言うマリウスに、ファニーは、
「それは許されない」
という。
「困っていた時に助けて貰ったし、子供が本当に可愛がって貰っている」
「それに夫は自分の体には手を触れていない」
と。
 

…なんかさぁ…。それとっておきのめっちゃ大事な事のようにマリウスにファニーが告げたんだが…。
でもって、マリウスも子煩悩なファニーの夫の言動と誠実なその態度に”参りました…!”的な感じで観念して、ファニーの前から去るんだが…。

そのとっても感動的なクライマックス見ながら、考えてた。
それって…さぁ。ファニーの自己満足なんちゃうん?マリウス可哀相過ぎない?
だってさ。マリウスはファニーと結婚しようとしてたのに、ファニーが、
「きっとマリウスは結婚しても船に乗らなかった航海するに違いない。そんなマリウスを見るのは嫌」
だと、オッサンにプロポーズされているのでとマリウスを船に追い立てて、妊娠が分かったら親の言う通り大人の知恵で金持ちと結婚して問題解決。
自分を忘れられないと帰って来た恋人に、恩と子供への愛情を注いでくれている夫を裏切れないと告げる。おまけに夫とは男女の関係ではないと。恋人には最後まで愛していると言い、別れを告げる。
それってーーーファニーにとっては良い事ばっかじゃん。別に不都合はない。
金持ちのオッサンと結婚して、ハゲ散らかった55才の夫とは夫婦生活しなくていいし、その夫は成さぬ仲の息子はめっちゃ可愛がってくれる。
そして恋人には愛してると告げ、一緒にはならなくても、恋人の気持ちが自分にあるのは分かっている。そして涙ながらに愛しい恋人と感動の別れをする。

めっちゃ感動的。
めでたし、めでたし。

で?
マリウスは?
恋人が金持ちにプロポーズされ、貴方は船に乗りたいんでしょう?と恋人に送り出す出され、帰って来たら実は人妻になった元恋人の産んだのは自分の息子で。一緒に暮らそうと言ったら、それは許されないと拒否され、また独り淋しく傷心で船に乗る。我が子を一度も胸に抱くことも叶わず。

なんだかファニーの幸せさ加減に、イマイチ共感できず終わった。
つうか不憫過ぎるぞマリウス。
男って愚かしいよね。てか永遠のピーターパン?そこに男のロマンといと哀れ的な想いを乗せているのか…?
あ…まさしく寅さんじゃんw
でもって好きな女の想いを守って助力はするが手は出さないという、多分ここにも男のロマン的なことを纏わせている。
どこまでが原作のモチーフでどこからが監督の演出なのかは分からないが、やっぱどうも好きになれない世界観だなと実感した。
相容れない(笑)
こんな実は強かで、でも本人も周りもそうは思っていない感動の真ん中にいるようなヒロイン像好きじゃないわ〜。きっとジジイやオッサンはこういう女性像が好きなのかもな〜と。

時代的なものかもしれないが、なんかストーリー自体が共感できなかった。残念。


まぁ、それはさておき。
感動的に幕が降りる。
カテコで、照史。ちょっとまだ涙の名残りが。それを拭いつつ(といっても本当に拭っていた訳ではないが)笑顔で、皆と。
楽しかったのが、フラメンコのダンサーさんやギタリストさん等と一緒に、瀧本さんや照史がフラメンコ。客席からも拍手。あれは良かったな〜。楽しかった。
何回か幕が降りて、客電点いても拍手。
再び幕が上がり、照史の挨拶。

18日の振替のこの公演。本当は自分達も18日幕を上げたかったが叶わなかった。今日は振替にも関わらず沢山の方が来て下さった。感謝を。あと2日で公演も終わるが最後まで精一杯皆で頑張ります。  
 
といった主旨の内容。

 

最前にオレンジのカーディガン着てる方とか、ちょこちょこオレンジの服の人いました。
観に行った日24日の前日は確か濵ちゃん見学。
今日25日は神ちゃん、流星が昼公演を見学。夜は小瀧。
公演最初の方で淳太が見学。
レコメンで淳太が、
「18日は地震で休演だったから望と流星が行けなかった」
みたいな話してた。まじかw24日夜公演は見学者いなかったようだ。
そしてメンバーで見学目撃情報ないのが、あとシゲだけという(笑)  


明日は千穐楽。あ、もう今日か。
お疲れ様です。
何かしらの感情や想いを、観る人々に抱かせること。
それは演者の想いがあってこそだろう。
カテコでまだ本篇の感情引きずりつつ立ってる照史を見て、毎日そんな風にここに立ってるんだろうなと思った。
毎回マリウスとして生きている。そしてセザールはセザールの生を、ファニーはファニーの生を。プティはプティの生を。

舞台って贅沢なエンターテインメントだね。
お値段も相応だけど、それに見合う演者さんやスタッフの方々の全てが噛み合ってこその舞台。
そして光一氏も言ってたが、
「平和じゃなけりゃエンターテインメントは幕を上げることができない」
と。
天災でも叶わない。

ちゃんと振替があり、それを観ることのできた事に、感謝。